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発酵ブログ 味噌是日々研究

味噌是日々研究

長野県立高校の入試、英語の題材に信州味噌

2016年04月27日 - みそのあれこれ

 4月になり新年度も始まっていますが、先におこなわれた平成28年度長野県公立高校入学者選抜後期選抜(3月)の英語の学力検査問題において「長野県の名産品、みそ」と題してみそがテーマに取り上げられました。
リンクはこちら http://www.pref.nagano.lg.jp/kyoiku/kyogaku/saiyo-nyuushi/shiken/ko/documents/28eigomondai.pdf
その中ではあまり一般に知られていない信州味噌の発展の経緯について触れられており、ちょっと難しかったでしょうか?
また、未来を担う若者にはどの様に映ったのでしょうか?
これをきっかけに興味を持ってもらえるとうれしいのですが・・・。


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味噌の由来

2016年03月23日 -

味噌の由来については色々な方から諸説ありますので、紹介してみましょう。

「栂野明二郎」氏による、味噌の由来は・・・
 味噌は東洋の特産であって昔から支那、朝鮮、日本に於いて調味的食品として用いられている。日本では聖武天皇の御代に唐の鑑真和尚が来朝して味噌を天皇に奉りその製法を伝えたのが嚆矢であるということである。
 和名抄に高麗醤美蘇云々とあって常時俗に使われた味醤と云う字は正しく未醤とすべきであって「末」とは即ち搗未(つきみ)の意であるとの事である。後世「末」が「未」となり「味」となったのである。挨嚢抄 (注:室町時代中期に編纂された辞典)にも「味噌の正字は未醤」なりと記してある。又、和訓の栞にも未醤と云う字が見えておる。
 また鑑真和尚が来朝した時に味噌を持参して我国人が之を食べて其の味が頗る美味であるので「未曾有」と嘆賞した事から味噌の名が生まれたと云うことも伝えられておる。


国立国会図書館 近代デジタルライブラリー 蔵書「最新醤油味噌醸造法」栂野明二郎 著 醸造評論社 大正15年刊(1926年)から引用



もう一つの「安達 巌」氏の説も紹介してみましょう。
味噌の元形は中国の「豉」(し)であるが、これが中国で量産されるようになったのは、前200年代のことで成金が続出したという。しかしわが国にもたらされたのは奈良時代で、伝来が遅れた理由はまだ塩が貴重品だったからである。
 この「味噌」の字について『釈名』は「高麗醤」と書き、揚子の『漢語抄』は「未醤」と書き、源順の『和名抄』は「美蘇」と書いている。このようにいろいろな宛字があるが、『本朝食鑑』(元禄五年1692年)の著者、人見必大は「自分は〝未醤〟の字を当てるべきだと思う。〝末〟とは粉のことで、それが謝って〝未〟に転じた。そしてそれがさらに〝味〟に変わった。だから昔の味噌はすべて〝未醤〟と書いてある」といっている。これは味噌は醤油以前のものということのようであるが、はたしてどうであろうか。
 一説によると、みそは高麗方言の「密祖」(みそ)の宛字だともいう。
 このように日本語の語源は一定しないが、いずれにしてもこの味噌には朝鮮系と中国系がある。ともに飛鳥・奈良時代に伝来した。それは大宝令(701年)の大膳職の下僚として主醤二人をおき、「醤豉・未醤等」を司らせるとしていることからみても疑いない。


安達 巌 加工食文化2000年の歩み, 食の科学, No 62, 93-102,1981年 から引用


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90年前の先駆者による味噌醸造技術書 (その2)

2016年03月23日 -

第十八図

二 味噌酵母培養法
 酵母を簡単に培養するには第十八図の如く通常の樽の鏡に経1寸位の二個の孔を穿ち内部を熱湯をもって数回洗浄殺菌し孔に綿栓を施す。次に米麹一貫目に水九升位の割合で通常より少し濃厚の甘酒を造り一旦沸騰せしめたものを直ちに樽に注入し再び綿栓を施す。綿栓はその都度表面を火炎で殺菌するのである。右のごとくして30度内外に冷えた時に別に試験管に培養した酵母二三本分をこの中に注入し、温所に置いて毎日1回位震揺するのである。十分酵母が繁殖したら甘酒と一緒にそのまま醪に添加すればよろしい。添加分量は必ずしも定まっておらぬが通常十六石仕舞一本に対し米麹七八升位を使用すればよろしいのである。
 以上は最も簡単の方法であるが、今少し丁寧にかつ乳状酵母のみを得るには第十九図に示すが如く普通の酒樽に(イ)の如き綿濾管を有する細長き管を挿入し、又(ロ)の如き綿栓を施し、下部には(ハ)(ニ)の如き位置に呑口二個を挿入するのである。而して酵母を培養するには前述の如く樽の内外を熱湯を以て十分に洗浄殺菌し、然る後沸騰せしめた甘酒を(ロ)の管から注入する。次いで綿栓を施して放冷せしめ内部の温度が30度内外に下降した所で(ロ)から酵母を移植し30度内外の温室に培養するのである。発酵を始むれば最初は1日1回位づつ(イ)の綿濾管を通して空気を挿入し発酵盛んになれば1日二三回づつ空気を挿入しなれけばならぬ。斯くの如くして四五日の中に発酵も終わり酵母は器低に沈降するから(ハ)の呑口を開いて上部の清澄液を取り棄て更に(ニ)の呑口を開いて白色乳状の酵母を得ることが出来る。而して一斗五升内外の甘酒から一升五合内外の酵母を得ることが出来る。一六石仕舞一本の添加量としては此の乳状酵母培養液三升内外が好適である。
 また培養中甘酒の腐敗等を防ぐために甘酒に予め五%内外の食塩を添加すれば最も安全である。

 

国立国会図書館 近代デジタルライブラリー 蔵書「最新醤油味噌醸造法」栂野明二郎 著 醸造評論社 大正15年刊(1926年)から引用

 

 当時、既に味噌中の酵母の利点を的確に捉え、酒樽の様な身近なものを用いて添加利用法を確立し、現在の酵母培養法と基礎的に同様な技術であることは脅威的です。


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90年前の先駆者による味噌醸造技術書 (その1)

2016年03月23日 -

最新醤油味噌醸造法 栂野明二郎 著

 みそ製造技術者養成講座で何年か前、諸先輩方のどなたかにお聞きしたのか失念してしまったのですが、若い人にも知ってもらうためにここで本を紹介をしたいと思います。
国立国会図書館 近代デジタルライブラリー 蔵書「最新醤油味噌醸造法」栂野明二郎 著 醸造評論社 大正15年刊(1926年)がその本で、インターネットで検索して頂ければ閲覧することができます。

 

 現在の味噌醸造技術の基礎となっている全国味噌技術会の「味噌技術」が昭和28年から、「味噌科学」が昭和30年から刊行を始めたのにたいし、戦前の大正時代にすでにこれだけの技術が確立していたのは、今から見直してみても驚異的なできごとだと思います。製麹技術や大豆処理技術、温醸技術の基本のみならず、バクテリア利用として酵母の人工培養法まで解説されていますので、今回は酵母の項を紹介します。

 

第七節 味噌酵母の培養法 946ページから引用
一 味噌酵母添加の利益
 糖化作用によって出来た糖分の一部は、味噌中に繁殖した味噌酵母によって、酒精発酵を起こし、酒精と炭酸ガスを作り、この酒精は味噌中に出来た酸類と化合して種々の芳香を付与するのである。夏期を通過して完全に熟成した味噌には光沢と芳香があって味噌固有の風味を有するのはすなわち酵母の力である。然るに味噌は醤油諸味と異なり、半固形であって、酵母の繁殖には極めて不利益の状態にあるから味噌中に於いて酵母の繁殖することはすこぶる困難であるから、自然の状態に放任しておっては熟成も遅く品質も不良である。故に酵母を培養して、仕込の際添加すれば酵母の繁殖も容易であって熟成も早く品質も良好となるのである。

 

その2 へ続く


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「みその褐変~メラノイジン~」

2013年02月28日 - みそ製品に関する情報

味噌は保存食品ですから、常温保存で全く問題ありません。しかし、常温保存で夏を過ぎますと、みその色が購入時に比べて濃くなることがあります。これは、みその熟成によって「メラノイジン」という褐色色素が生成しているためにおこります。

 

メラノイジンは、糖とアミノ酸が反応しておきる褐変現象―メイラード反応またはアミノカルボニル反応と呼ばれます―によって生成されます。メイラード反応は、食品中でおきる重要な化学反応で、食品の加熱や熟成によって生じることが知られており、みそ、しょうゆ、ビール、ソース、コーヒー、クッキー、焼き魚などにおいて、特有の色と風味を与えます。

 

メラノイジンには強い抗酸化作用があることが知られており、糖尿病、がん、高血圧に対する予防効果のあるという実験報告が五明紀春教授(女子栄養大学)によりされています。

 

このようなことですから、色が濃くなったみそを食べても全く無害です。ただし、みその褐変の進行とともに、本来の味や香りが損なわれていく可能性がありますので、そのようになる前にお召し上がりください。

 

 

参考資料:『みそ知り博士のQ&A50』みそ健康づくり委員会

『みそサイエンス最前線』「糖尿病の改善やがん予防効果が期待されるみその褐色色素」みそ健康づくり委員会

 


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「みその塩分」

2013年02月26日 - みその科学と健康

 

「みそは好きなんだけど塩分が・・・」というお言葉をいただくことがあります。

 

お店で売られている普通のみその塩分は10.5~12%位です。みそ汁は普通10倍程度に薄めますので汁の塩分濃度は1%前後となり、さらに具が入りますのでお椀1杯(およそ150ml)あたりの食塩摂取量は1.5g以下ということになります。

 

塩分の高そうな食品を挙げてもらうと、みそがきっと上位にくると思いますが、みそ汁として考えるとその塩分量は特別高いことはありません。むしろ、みそ汁ならば四季折々の野菜が具として入りますから、手軽に多くの野菜を摂取できるというメリットをお伝えできればと考えています。

 

また、共立女子大学の上原誉志夫教授の研究によるラット(Dahl食塩感受性ラット)を使った実験によりますと、0.9%食塩水、1.3%食塩水とみそ汁(塩濃度1.3%)をラットに与え血圧上昇を比較したところ、みそ汁摂取区では0.9%食塩水を与えた場合の血圧上昇にとどまり、3割の減塩効果があることが報告されており、みそには食塩吸収を抑制するか食塩感受性血圧上昇を阻害する成分が含まれていることが示唆されています。

 

参考資料:『みそ知り博士のQ&A50』みそ健康づくり委員会

Japanese traditional miso soup attenuates salt-induced hypertension and its organ damage in Dahl salt-sensitive rats. Nutrition. 2012 28:924-31

五訂増補 日本食品標準成分表


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「みその塩分と血圧の関係」

2013年01月09日 - みその科学と健康

 今回はみその塩分と血圧の関係ということで、このテーマについて研究されているお二人の研究を簡単ですがご紹介させていただきます。

 両先生もご指摘している点は、みそ中の食塩(NaCl)は単独で摂取した食塩(NaCl)とは異なる働きをしているか、またはみその中には血圧上昇を抑える物質が含まれているのではないかとおっしゃられています。

◆広島大学名誉教授 渡邊敦光先生による研究

 一般的に実験に使用されるラット(SDラット)と、食塩に対して敏感に血圧上昇するラット(Dahlラット) に、(1) 2.3%食塩濃度のみそ入りのエサ、(2) 2.3%食塩濃度のエサ、(3) 1.9%食塩濃度のエサ、(4) 0.3%食塩濃度の普通のエサ、をそれぞれ与え飼育しました。  2、4、8、12週目に血圧を測定したところ、SDラットでは食塩を含むエサを食べても血圧は上がりませんでした。そして、食塩感受性のDahlラット(雄)では(2)2.3%または(3)1.9%の食塩を含むエサを与えたラットでは8週から12週にかけて血圧上昇したのに対して、(1)みそ入りのエサを与えたラットでは(4)0.3%食塩濃度の普通のエサを与えたときと同じ血圧上昇カーブを描きました(図4)。  また、雌のDahlラットでも同様に食塩のみだと血圧が上昇しますが、みそ入りのエサの場合は血圧は上昇しませんでした。

参考文献:みそサイエンス最前線「みその塩分が胃がんや血圧に及ぼす影響」

 

◆共立女子大学教授 上原誉志夫先生による研究

 食塩感受性のラット(Dahl)に、(1)水、(2)0.9%食塩水、(3)1.3%食塩水、(4)みそ汁(食塩1.3%含有)を与え、同じエサを与えて飼育し血圧測定しました。  その結果、(3)1.3%食塩水を与えたラットに比べて、(4)みそ汁を与えられたラットを比較すると、食塩摂取量についてはみそ汁群の方が多かったのに対して血圧の上昇は抑えられており、約3割の減塩効果がありました(図2)。

参考文献:みそサイエンス最前線「みその摂取習慣と高血圧及び生活習慣病の予防について」


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「みそのおいしい保存のしかた」

2012年12月12日 - みそ製品に関する情報

今回は、みその保存のしかたを紹介したいと思います。

みそはどこに保管していますか。冷蔵庫、野菜室、台所下、レンジ下でしょうか。どこがいいのか悩む方もいらっしゃるようです。

じつは、とくに気にする必要はありません。調理中に取りやすい場所に置いてください。みそは保存食品ですから常温保存で大丈夫です。30℃を超える場所でも食中毒菌が増殖したり腐ったりしません。

ただし、高温や空気にふれると乾燥や色づきの原因になりますから、味や香りを保っておいしく食べるには、冷蔵庫での保存をおすすめしています。


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「みその中の白いツブツブ」

2012年11月21日 - みそ製品に関する情報

みその表面や中に白い粒々が見られることがあります。カビやゴミのように見えますが、これはアミノ酸(チロシン)のかたまりです。

 

みそは麹菌がつくる酵素(プロテアーゼ)の力によって大豆タンパク質を分解することで旨味成分(アミノ酸)を生み出しています。一部のアミノ酸は酵母によって消費されて香り成分へと変化しますが、そのほかはアミノ酸として蓄積していきます。そのため大豆タンパク質の分解が進むとアミノ酸の一部が粒状または鱗片状に結晶化することがあります。


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